保険年度途中で労働保険料が増えた場合、概算保険料を申告しなかった場合の対応

労働保険料は、労働者の安全と健康を保護するための制度で、雇用者と労働者が共同で負担します。保険料は、労働者の賃金に基づいて計算され、労働災害保険と雇用保険の二つの部分から成り立っています。

これらの保険は、労働者が職を失った場合や職場で事故に遭った場合の補償を提供します。労働保険料の徴収は、労働保険徴収法に基づいて行われます。

概算保険料の詳細は下の記事で紹介しています。

増加概算保険料

概算保険料は、労働保険料の一部で、事業年度の開始時に事業主が労働者の賃金等に基づいて計算し、納付するものです。

これは、その年度の労働者の賃金等が事業年度開始前には確定していないため、概算で計算されます。事業年度終了後、実際の賃金等に基づいて正確な保険料が計算され、概算保険料との差額が追加で納付されるか、返還されます。

納付要件

保険年度の途中で保険料算定基礎額(賃金総額または特別加入算定基礎額の総額)の見込額が増加した場合で次の納付要件に該当するときは、増加概算保険料を納付しなければなりません。

  • 増加後の保険料算定基礎額の見込額が増加前の見込額の100分の200を超えること
  • 増加後の保険料算定基礎額の見込額に基づき算定した概算保険料の額とすでに納付した概算保険料の額との差額が13万円以上であること

納付額と納期限

納付要件に該当した場合、事業主は増加後の保険料見込額に基づいて算定した概算保険料の額とすでに納付した概算保険料の額との差額を、保険料算定基礎額の増加が見込まれた日の翌日から起算して30日以内に所定の納付書を添えて申告、納付しなければなりません。

増加概算保険料の延納

概算保険料の延納をする事業主は、増加概算保険料申告書を提出する際に延納を申請することにより、増加概算保険料についても延納することができますが、最初の期分の増加概算保険料は保険料算定基礎額の増加が見込まれた日の翌日から起算して30日以内に納付しなければなりません。

概算保険料の追加徴収

追加概算保険料

政府が一般保険料率、第1種~第3種特別加入保険料率の引き上げを行ったときは概算保険料の追加徴収をします。

政府は、通知を発する日の翌日から起算して30日を経過した日を納期限として、事業者に対して納付すべき概算保険料の額と納期限を通知します。

追加概算保険料の延納

概算保険料の延納をする事業主は、通知により指定された納期限までに延納を申請することにより、追加概算保険料についても延納することができますが、最初の期分の追加概算保険料は通知により指定された納期限までに納付しなければなりません。

概算保険料が減額となる場合

保険年度の途中で保険料算定基礎額の見込額の減少や保険料の引き下げなどがあった場合に、すでに納付した保険料額との差額を還付するという規定はありません。

確定保険料の納付の際に清算することとなります。

概算保険料の認定決定

認定決定

事業主が概算保険料申告書を提出しないとき、または申告書の記載に誤りがあると認めるときは、概算保険料の額を政府が決定し、事業主に認定決定します。

事業主がこの決定通知を受け、すでに納付した概算保険料に不足がある場合は、その不足額を、または納付額がない場合は、その決定額を、その通知を受けた日から15日以内に納付しなければなりません。

認定決定された概算保険料の延納

認定決定された概算保険料も通常の概算保険料と同様の条件を満たせば、同様の方法で延納することができます。

その場合も、最初の期分については、認定決定の通知を受けた日の翌日から15日以内に納付しなければなりません。

終わりに

この記事を通じて、労働保険料、特に増加概算保険料と概算保険料の追加徴収についての理解が深まったことを願っています。これらの制度は、労働者の安全と健康を保護し、事業主と労働者が公平に負担を分担するための重要な仕組みです。

しかし、その計算や納付は複雑であり、理解と適切な対応が求められます。この記事が、その一助となれば幸いです。今後とも、労働保険料に関する最新の情報や変更点を把握し、適切な対応を心掛けましょう。

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