老齢基礎年金の受給資格とは?
老齢基礎年金の受給資格とは、国民年金に加入している期間の長さによって決まります。一般的には、国民年金に加入している期間が10年以上であれば、老齢基礎年金の受給資格があります。
保険料納付済期間等が10年
なぜ10年以上の加入期間が必要なのでしょうか。その理由は、老齢基礎年金の制度の目的と仕組みにあります。
老齢基礎年金は、老後の最低限の生活を保障するための年金です。そのため、国民年金に加入しているすべての人に一定額の年金を支給することを目指しています。しかし、一定額の年金を支給するには、一定期間の保険料の納付が必要です。
そこで、国民年金に加入している期間のうち、保険料を納付した期間や免除された期間などを合計した受給資格期間という概念が導入されました。受給資格期間は、年金の受給資格を判断するための基準となります。
10年の根拠は?
受給資格期間が10年と定められたのは、国民年金の制度の歴史に関係しています。国民年金制度は、昭和36年に始まりましたが、当初は受給資格期間はありませんでした。
そのため、国民年金に加入している人は、たとえ1ヶ月しか保険料を納めていなくても、65歳になれば老齢基礎年金を受け取ることができました。しかし、この制度は、長期間にわたって保険料を納めた人と、短期間しか納めていない人との間に不公平感を生みました。
また、国民年金の財政も圧迫されました。そこで、昭和55年に受給資格期間が導入され、25年以上の加入期間が必要とされました。その後、平成29年に法改正により、受給資格期間が10年に短縮されました。これは、少子高齢化や非正規雇用の増加などにより、25年以上の加入期間を満たせない人が増えたことや、国民年金の普及率を高めることなどが理由とされています。
以上のように、老齢基礎年金の受給資格は、国民年金の制度の目的と仕組み、歴史と現状に基づいて決められています。
老齢基礎年金は、老後の生活の基盤となる年金ですので、受給資格を確保するためには、できるだけ長期間にわたって国民年金に加入し、保険料を納めることが大切です。
老齢基礎年金の受給開始年齢とは?
原則は65歳
老齢基礎年金の受給開始年齢は、原則として65歳です。この年金を受給するためには、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した受給資格期間が10年以上必要となります。
また、65歳後に受給資格期間の10年を満たした方は、受給資格期間を満たしたときから老齢基礎年金を受け取ることができます。
繰上げ支給と繰下げ支給
60歳から65歳までの間に繰上げて減額された年金を受け取る「繰上げ受給」や、66歳から75歳までの間に繰下げて増額された年金を受け取る「繰下げ受給」を選択することも可能です。
年金額は、20歳から60歳になるまでの40年間の国民年金の納付月数や厚生年金の加入期間等に応じて計算されます。全額の保険料を納めると、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。
繰上げ支給と繰下げ支給の手続き
老齢基礎年金の繰り上げ支給と繰り下げ支給について説明します。
繰り上げ支給の手続き
繰り上げ支給を希望する場合は、65歳までの繰り上げ受給を希望する時期に「老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書」をお近くの年金事務所または街角の年金相談センターへ提出します。
繰り下げ支給の手続き
繰り下げ支給を希望する場合は、66歳以降で繰り下げ受給を希望する時期に「老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰下げ請求書」をお近くの年金事務所または街角の年金相談センターへ提出します。
いずれの場合も、提出した時点で増減率が決まりますので、提出する時期に注意が必要です。
老齢基礎年金の受給額とは?
老齢基礎年金の受給額とは、老齢基礎年金を受け取ることができる金額のことです。老齢基礎年金の受給額は、国民年金に加入している期間や受給開始年齢、所得などによって変わります。老齢基礎年金の受給額の計算方法は、以下のとおりです。
受給額の計算方法
国民年金に加入している期間に応じて、基礎年金額が決まります。
基礎年金額は、国民年金に加入している期間が40年(480月)の場合、2023年度は年額79万5,000円です。
年金の額を決める改定率とは?
国民年金の改定率は、物価変動率と名目手取り賃金変動率に基づいて決定されます。具体的には、新規裁定者(67歳以下の人)は名目手取り賃金変動率を、既裁定者(68歳以上の人)は物価変動率を用いて改定します。
例えば、令和5年度の改定では、名目手取り賃金変動率が+2.8%であり、一方の物価変動率は+2.5%となっており、名目手取り賃金変動率が物価変動率を上回ったため、新規裁定者は2.2%、既裁定者は1.9%受給額が引き上げになりました。
このように、年金額の改定は、物価や賃金の変動に応じて行われ、受給者の生活保護を目指しています。
繰上げ、繰下げの場合は?
受給開始年齢に応じて、基礎年金額に加算率または減算率がかかります。加算率または減算率は、受給開始年齢が65歳の場合は100%で、それより早い場合は0.4%ずつ減り、それより遅い場合は0.7%ずつ増えます。
終わりに
以上が国民年金の老齢基礎年金についての基本的な事項になります。
年金は私たちの生活を支える大切な制度であり、その仕組みを理解することは非常に重要です。年金制度は複雑であり、また時々改定されますので、最新の情報を常にチェックし、自身の受給額を正確に把握することが求められます。
また、自身のライフスタイルや将来の計画に合わせて、繰り上げ受給や繰り下げ受給を選択することも可能です。これらの選択は、将来の生活設計に大きな影響を与えますので、慎重に考えることが必要です。
皆様の安心した生活のために、適切な情報を得て、賢明な選択をすることをお勧めします。
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