はじめに
概算保険料の申告・納付期限について理解しておくことは、適切な保険料の支払いを行い、保険の適用を確実にするために重要です。この記事では、その詳細について解説します。
概算保険料とは?
まず、概算保険料とは何かについて説明します。これは、保険契約者が支払うべき保険料の額を示すもので、その計算方法や決定要因について解説します。
労働保険の概算保険料は、事業が開始されたときや年度の初めに、その保険年度中に支払われる賃金総額の見込額に保険料率を乗じて算定する保険料を指します。
具体的には、事業主は年度当初に概算で申告・納付し、翌年度の当初に確定申告の上精算することになっています。この過程を「年度更新」と呼びます。
継続事業の納付額
継続事業の労働保険料の額は、原則として以下により算出されます。
賃金総額の見込額が、直前の保険年度の賃金総額の100分の50以上100分の200以下の場合、直前の保険年度の賃金総額を使用します。
賃金総額については、以下の記事で詳しく解説しています。
雇用保険については、被保険者でない者の賃金は除かれます。
有期事業の納付額(一括有期事業を除く)
有期事業の労働保険料の額は、原則として以下により算出されます。
有期事業においては、労災保険しか成立しないので、労災保険料率が一般保険料率となります。
概算保険料の延納
概算保険料の延納は、労働保険徴収法に基づき、事業主が一定の要件を満たす場合に、概算保険料の納付を分割することができる制度です。
延納の要件
継続事業の場合
- 事業主が労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合、または納付すべき概算保険料の額が40万円以上(労災保険または雇用保険のみ加入の場合は20万円以上)である場合。
- 当該保険年度において10月1日以降に保険関係が成立した事業ではないこと。
有期事業の場合
- 事業主が労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合、または納付すべき概算保険料の額が75万円以上であり、かつ事業の全期間が6ヵ月を超えている場合。
延納の回数と納期限
次表の通り1保険年度を3期に分けて3回の納期限で納付することができます。
期間 | 4/1~7/31 | 8/1~11/30 | 12/1~3/31 |
---|---|---|---|
継続事業 納期限 | 第一期 7月10日 | 第二期 10月31日 (11月14日) | 第三期 1月31日 (2月14日) |
有期事業 納期限 | 3月31日 | 10月31日 | 1月31日 |
納付額
各期の納付額は、概算保険料を納付の回数を除して得た額となりますが、1円未満の端数は、第1期分に加えて納付します。
概算保険料100万円を3期に分けて延納する場合
100万÷3=333,333.33…
第二期、第三期=各333,333円
第一期=1,000,000円-666,666円=333,334円
申告・納付期限の重要性
次に、概算保険料の申告・納付期限がなぜ重要なのかを説明します。期限を守ることで得られるメリットや、逆に期限を過ぎてしまった場合のデメリットについて詳しく解説します。
概算保険料の申告・納付期限は、労働保険制度の一部であり、その重要性は以下の通りです。
メリット
- 適切な保険料の計算: 概算保険料は、次年度一年分の労働保険料を前払いするもので、事業が開始時や年度の初めに、保険年度内に支払われる賃金総額の見込額に、保険料率をかけて算定する。これにより、事業主は適切な保険料を計算し、納付することができます。
- 時間とコストの節約: 電子申請を利用することで、移動時間や待ち時間などの時間的なコストや、移動費用や人件費等のコストが削減できます。
デメリット
- 追徴金と延滞金: 申告・納付が遅れると、政府によって保険料・拠出金の額が決定(概算保険料の認定決定)され、通知を受けた15日以内に納付書により納付しなければなりません。
- 財産差押え等: さらに、申告・納付が遅れると、政府は財産差押え等を行うこともあります。
終わりに
最後に、概算保険料の申告・納付期限に関する重要ポイントを解説しました。これらを把握することで、スムーズな保険料の支払いを実現し、保険契約者自身の利益を最大化することが可能です。
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