雇用保険の基本手当日額が変更になる!令和5年8月1日からの新しい計算方法と上限額・下限額を解説

はじめに

今回は雇用保険制度に関する最新情報や役立つ知識をお届けしています。令和5年8月1日から雇用保険の基本手当日額が変更になることについて解説します。

雇用保険の基本手当とは、失業や休業などで収入が減少した場合に、一定期間、所定の割合で支給される給付金のことです。基本手当を受給するためには、雇用保険に加入していること、失業や休業の原因が自己都合でないこと、一定の被保険期間を満たすこと、就職活動を行っていることなどの要件があります。

基本手当の日額

基本手当日額は、離職時の年齢と賃金日額によって決まります。賃金日額とは、離職前のか6月間の賃金総額を勤務日数で割ったものです。基本手当日額は、賃金日額に一定の給付率(50%~80%)を乗じたものです。

また、離職日に60歳以上65歳未満の場合は給付率が45%~80%の範囲で定められ、それぞれに上限額と下限額が設定されています。

賃金日額の算定

一般的な算定方法

賃金日額の一般的な算定方法は、次の式で表されます。

賃金日額=最後の6か月間の賃金総額/180​

この式では、離職前6か月間の賃金総額には、臨時に支払われる賃金や3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は含まれません。例えば、ボーナスや退職金などは除外されます。

また、通貨以外のもので支払われる賃金の範囲及び評価額は公共職業安定所長が定めます。

特例的な算定方法

上記の方法で賃金日額を算定することが困難である場合や、適当でない場合は、特例的な方法で賃金日額を算定します。

その場合は、厚生労働大臣が定める方法により算定されます。例えば、次のような場合が該当します。

賃金が労働した日や時間によって算定される場合や出来高払制などの請負制によって定められている場合

賃金が労働した日や時間によって算定される場合や出来高払制などの請負制によって定められている場合は、離職前6か月間の賃金総額を、当該最後の6か月間の労働日数で除したものの100分の70が最低保証されます。

最低保証額=最後の6か月間の賃金総額/最後の6か月間の労働日数×70%

また、賃金の一部が月や週など一定の期間によって定められている場合は、その部分の総額をその期間の総日数(賃金の一部が月によつて定められている場合には、一箇月を三十日として計算する。)で除して得た額と上記の最低保証額との合算額となります。

介護・育児休業等の場合の特例

受給資格者が一般保険者であったときに、介護や育児による休業または勤務時間の短縮をしていた場合であって、かつ、倒産・解雇等離職者または特定理由離職者に該当する場合、それぞれこれらの「休業が開始される前または勤務時間の短縮が行われる前に支払われていた賃金」と上記の「一般的な算定方法で算定された賃金」を比較し、高い方を賃金日額とします。

必要な手続き

事業主は、被保険者が家族の介護や子育てのために休業した場合、または所定労働時間を短縮した場合に、被保険者が離職し、特定理由離職者または特定受給資格者として受給資格の決定を受けることとなる場合、休業・所定労働時間短縮開始時賃金証明書に、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)に基づく各種申出書やその他の書類を添付して提出しなければなりません。

休業等を行った事実と期間、そして休業等を開始した日前の賃金の額を証明することができる書類も添付しなければならず、これらの書類は、被保険者が離職した日の翌日から起算して10日以内に、その所轄公共職業安定所長に提出しなければなりません。

上限額・下限額の適用

令和5年8月1日から、基本手当日額の上限額・下限額が変更になっています。

これは、雇用環境や物価の変化に対応するためのもので、毎月勤労統計における平均定期給与額の増減により、その額を変更します。

最低・最高限度額の適用(令和5年8月1日から)

下限額

  • 賃金日額の最低限度2,746円(変更前:2,657円)
  • 基本手当日額の最低限度2,196円(変更前:2,125円)

上限額

上限額は受給資格の取得にかかる離職の日の年齢によって次の通りとなります。

離職の日の年齢賃金日額基本手当の日額
60歳以上65歳未満16,210円6,945円
45歳以上60歳未満16,980円7,715円
30歳以上45歳未満15,430円8,490円
30歳未満13,890円7,294円

終わりに

今回は基本手当の日額の計算のもととなる賃金日額の算定方法や、令和5年8月1日から適用される雇用保険の基本手当日額の新しい上限額・下限額について解説しました。

この変更は、労働者の生活を守り、安定した生活を送るための重要な一歩です。最新の情報をチェックし、自分の権利を理解することが大切です。

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