【しっかり見分けよう】国民年金法 被保険者の種別

国民年金法の被保険者

国民年金法の被保険者は第一号被保険者から第三号被保険者まで区分されています。

それぞれの定義は国民年金法第七条第一項第一号から第三号に規定されていることから、第一号被保険者と呼ばれます。

第1号被保険者

日本国内に住む20歳以上60歳未満の人で、自営業者、学生、厚生年金が適用されていない被用者、無職者など、第2号被保険者や第3号被保険者とならない人は全て第1号被保険者として扱われます。

第2号被保険者

70歳未満の会社員、国・地方公共団体の公務員や私立学校の教職員は、厚生年金の被保険者となると同時に、国民年金の第2号被保険者として扱われます。

第3号被保険者

厚生年金の被保険者(第2号被保険者)に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(夫又は妻)は、国民年金の第3号被保険者となります。配偶者には事実上の婚姻関係にある人も含まれます。扶養の要件については、年収が130万円未満であり、かつ、配偶者の年収の2分の1未満であることとされています。

任意加入被保険者

いずれの種別にも属していない人のうち、日本国内に住む60歳以上65歳未満の人や日本国籍を有し、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の人等は、申出により、国民年金の任意加入被保険者となることができます。

任意加入被保険者は、第1号被保険者と同じ保険料を支払うことで、年金を受け取るために必要な期間(受給資格期間(10年))を満たしたり、年金額を増やしたりすることができます。

これら各種別の被保険者はそれぞれ異なる条件や要件を持っており、それぞれが国民年金制度における重要な役割を果たしています。

条文で確認

国民年金法 第七条(被保険者の資格)

次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金の被保険者とする。

 日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であつて次号及び第三号のいずれにも該当しないもの(厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)に基づく老齢を支給事由とする年金たる保険給付その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であつて政令で定めるもの(以下「厚生年金保険法に基づく老齢給付等」という。)を受けることができる者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。以下「第一号被保険者」という。)

 厚生年金保険の被保険者(以下「第二号被保険者」という。)

 第二号被保険者の配偶者(日本国内に住所を有する者又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者として厚生労働省令で定める者に限る。)であつて主として第二号被保険者の収入により生計を維持するもの(第二号被保険者である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。以下「被扶養配偶者」という。)のうち二十歳以上六十歳未満のもの(以下「第三号被保険者」という。)

 前項第三号の規定の適用上、主として第二号被保険者の収入により生計を維持することの認定に関し必要な事項は、政令で定める。

 前項の認定については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

過去問にチャレンジ

平成25年度

厚生年金保険の在職老齢年金を受給している夫が65歳に達した際、日本国内に住所を有する第3号被保険者である妻が60歳未満であれば、その妻は第1号被保険者となり、産前産後期間の保険料免除、法定免除又は申請全額免除に該当しない限り、国民年金の保険料を納付しなければならない。

答え「〇」

それぞれの被保険者の要件をしっかりおさえていないと正答するのが難しい問題です。

第三号被保険者は第二号被保険者の配偶者であることが要件となっていますので、第二号被保険者がその資格を喪失した日に第三号被保険者の資格を喪失し、第一号被保険者に該当する場合は、第一号被保険者となります。

第九条(資格喪失の時期)

第七条の規定による被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(第二号に該当するに至つた日に更に第七条第一項第二号若しくは第三号に該当するに至つたとき又は第三号から第五号までのいずれかに該当するに至つたとき(第四号については、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者となつたときに限る。)は、その日)に、被保険者の資格を喪失する。

 死亡したとき。

 日本国内に住所を有しなくなつたとき(第七条第一項第二号又は第三号に該当するときを除く。)。

 六十歳に達したとき(第七条第一項第二号に該当するときを除く。)。

 厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者となつたとき(第七条第一項第二号又は第三号に該当するときを除く。)。

 厚生年金保険の被保険者の資格を喪失したとき(第七条第一項各号のいずれかに該当するときを除く。)。

 被扶養配偶者でなくなつたとき(第七条第一項第一号又は第二号に該当するときを除く。)。

国民年金法 第九条

また、老齢厚生年金の受給権者は65歳を迎えた日に、被保険者資格を喪失します。

第7条第1項第二号の規定の適用については、当分の間、同号中「加入者」とあるのは、「加入者(六十五歳以上の者にあつては、厚生年金保険法附則第4条の3第1項に規定する政令で定める給付の受給権を有しない被保険者、組合員及び加入者並びに国家公務員共済組合法附則第13条の3に規定する特例継続組合員及び地方公務員等共済組合法附則第28条の7に規定する特例継続組合員に限る。)」とする。

国民年金法附則 第三条(被保険者の資格の特例)

平成29年度

20歳未満の厚生年金保険の被保険者は、国民年金の第2号被保険者となる。

答え「〇」

厚生年金被保険者は、原則年齢に関係なく第二号被保険者となります。

なお、20歳未満の被保険者期間は、合算対象期間となりますので、注意が必要です。

詳しくはこちらの記事で紹介をしています。

令和3年度

第2号被保険者の被扶養配偶者であって、観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する日本国内に住所を有しない20歳以上60歳未満の者は、第3号被保険者となることができる。

答え「〇」

条文では、第2号被保険者の配偶者で、「日本国内に住所を有する者又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者として厚生労働省令で定める者に限る。」とされています。

厚生労働省令で定める者とな次のとおりです。

法第七条第一項第三号の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者とする。

 外国において留学をする学生

 外国に赴任する第二号被保険者(法第七条第一項第二号に規定する第二号被保険者をいう。以下同じ。)に同行する者

 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者

 第二号被保険者が外国に赴任している間に当該第二号被保険者との身分関係が生じた者であつて、第二号に掲げる者と同等と認められるもの

 前各号に掲げる者のほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者

国民年金法施行規則 第一条の三(法第七条第一項第三号に規定する日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者として厚生労働省令で定める者)

したがって、設問の方は第3号被保険者となり得ます。

平成24年度

65歳未満の任意加入被保険者は、保険料納付済期間や、いわゆる保険料の多段階免除期間(その段階に応じて規定されている月数)を合算し、満額の老齢基礎年金が受けられる480月に達したときは、本人から資格喪失の申出がなくても、被保険者の資格を喪失する。

答え「〇」

任意加入被保険者は加入要件と喪失事由をしっかりおさえておきましょう。

任意加入被保険者の要件

  • 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の被用者年金各法の老齢給付等を受けることができる者
  • 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者
  • 日本国籍を有する者で日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の者

任意加入被保険者の資格喪失

  • 死亡したとき
  • 65歳に達したとき
  • 厚生年金保険の被保険者の資格を取得したとき
  • 資格喪失の申出が受理されたとき
  • 保険料納付月数等を合算した月数が480に達したとき

終わりに

いかがでしたでしょうか。

国民年金法の被保険者の種別は試験では必修のテーマです。

まだまだ細かい規定もありますので、まずは基本的事項を定着させましょう。

今後も、このブログでは、社労士試験合格を目指す方に役立つ情報などを発信します。

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