【最大の山場手前】雇用保険法 失業の認定をマスターする

最大の山場は基本手当

雇用保険法による失業の認定は、公共職業安定所によって行われます。

失業者が公共職業安定所に申し出ると、公共職業安定所は、失業者の雇用状況や収入などを調査し、失業者が失業した理由や求職活動の状況などを確認した上で、失業の認定を行います。認定された場合、基本手当等が支給されます。

ただし、基本手当等を受けるためには、一定の要件を満たす必要があります。具体的には、雇用保険に加入していること、就業期間や賃金などの要件を満たしていること、就職活動を積極的に行っていることなどが挙げられます。

雇用保険法の中でも最大の山場である基本手当のベースとなる失業の認定について、法律の条文と過去問をみながら定着させましょう。

条文を確認

雇用保険法第十五条(失業の認定)

基本手当は、受給資格を有する者(次節から第四節までを除き、以下「受給資格者」という。)が失業している日(失業していることについての認定を受けた日に限る。以下この款において同じ。)について支給する。

 前項の失業していることについての認定(以下この款において「失業の認定」という。)を受けようとする受給資格者は、離職後、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをしなければならない。

 失業の認定は、求職の申込みを受けた公共職業安定所において、受給資格者が離職後最初に出頭した日から起算して四週間に一回ずつ直前の二十八日の各日について行うものとする。ただし、厚生労働大臣は、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等(国、都道府県及び市町村並びに独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が設置する公共職業能力開発施設の行う職業訓練(職業能力開発総合大学校の行うものを含む。)、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律(平成二十三年法律第四十七号)第四条第二項に規定する認定職業訓練(厚生労働省令で定めるものを除く。)その他法令の規定に基づき失業者に対して作業環境に適応することを容易にさせ、又は就職に必要な知識及び技能を習得させるために行われる訓練又は講習であつて、政令で定めるものをいう。以下同じ。)を受ける受給資格者その他厚生労働省令で定める受給資格者に係る失業の認定について別段の定めをすることができる。

 受給資格者は、次の各号のいずれかに該当するときは、前二項の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭することができなかつた理由を記載した証明書を提出することによつて、失業の認定を受けることができる。

 疾病又は負傷のために公共職業安定所に出頭することができなかつた場合において、その期間が継続して十五日未満であるとき。

 公共職業安定所の紹介に応じて求人者に面接するために公共職業安定所に出頭することができなかつたとき。

 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるために公共職業安定所に出頭することができなかつたとき。

 天災その他やむを得ない理由のために公共職業安定所に出頭することができなかつたとき。

 失業の認定は、厚生労働省令で定めるところにより、受給資格者が求人者に面接したこと、公共職業安定所その他の職業安定機関若しくは職業紹介事業者等から職業を紹介され、又は職業指導を受けたことその他求職活動を行つたことを確認して行うものとする。

過去問にチャレンジ

平成27年度

失業の認定は、求職の申込みを受けた公共職業安定所において、原則として受給資格者が離職後最初に出頭した日から起算して4週間に1回ずつ直前の28日の各日について行われる。

答え「〇」

設問のとおりです。

よくひっかけがあるのが、「離職後最初に出頭した日」を「離職した日」と変えて出てくるパターンです。

離職した日(の翌日)が起算日となるのは、基本手当の受給期間です。違いをしっかり覚えておきましょう。

平成25年度

受給資格者は、失業の認定を受けようとするときは、失業の認定日に、管轄公共職業安定所に出頭し、正当な理由がある場合を除き受給資格者証を添えて離職票を提出した上、職業の紹介を求めなければならない。

答え「×」

失業の認定にかかる手続きと提出書類は覚えにくいですが、試験によく出されるので、正確に覚えましょう。

失業の認定前

  1. 離職者が会社に離職票の発行を依頼
  2. 会社が公共職業安定所に離職証明書を提出
  3. 公共職業安定所が会社を通じて離職者に対し、離職票を交付

受給資格の決定

  1. 離職者は公共職業安定所に出頭し、離職票を提出した上で、求職の申込
  2. 公共職業安定所は受給資格者票を交付し、失業認定日を指定(離職者は受給資格者となる)

失業の認定

  1. 受給資格者は指定の失業認定日に公共職業安定所に出頭
  2. 失業認定申告書と受給資格者証を提出し、職業の紹介を求める
  3. 公共職業安定所は失業の認定をし、受給資格者証の返付と基本手当の支給を行う

なお、令和4年10月からマイナンバーカードを活用した失業の認定が行われています。

平成25年度

受給資格者(口座振込受給資格者を除く。)が疾病、負傷、就職その他やむを得ない理由によって、支給日に管轄公共職業安定所に出頭することができないときは、その代理人が当該受給資格者に支給されるべき基本手当の支給を受けることができる。

答え「〇」

受給資格者が疾病、負傷、就職その他やむを得ない理由によって、支給日に管轄公共職業安定所に出頭することができないときは、その代理人が当該受給資格者に支給されるべき基本手当の支給を受けることができます。

失業の認定は、受給資格者である本人が出頭することが必要です。原則として、代理人により失業の認定を受けることはできないので注意しましょう!

平成25年度

受給資格者は、失業の認定日に、民間の職業紹介事業者の紹介に応じて求人者に面接するために公共職業安定所に出頭することができなかったときは、その理由を記載した証明書を提出することによって、公共職業安定所に出頭しなくても、失業の認定を受けることができる。

答え「×」

指定された失業の認定日に出頭できない場合は、「失業の認定日の変更」または「証明認定」をすることによって失業の認定を受けることができます。

失業の認定日の変更

法第十五条第三項の厚生労働省令で定める受給資格者は、次のとおりとする。

 職業に就くためその他やむを得ない理由のため失業の認定日に管轄公共職業安定所に出頭することができない者であつて、その旨を管轄公共職業安定所の長に申し出たもの

 管轄公共職業安定所の長が、行政機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第九十一号)第一条第一項に規定する行政機関の休日、労働市場の状況その他の事情を勘案して、失業の認定日を変更することが適当であると認める者

雇用保険法施行規則 第二十三条(法第十五条第三項の厚生労働省令で定める受給資格者)

証明認定

 受給資格者は、次の各号のいずれかに該当するときは、前二項の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭することができなかつた理由を記載した証明書を提出することによつて、失業の認定を受けることができる。

 疾病又は負傷のために公共職業安定所に出頭することができなかつた場合において、その期間が継続して十五日未満であるとき。

 公共職業安定所の紹介に応じて求人者に面接するために公共職業安定所に出頭することができなかつたとき。

 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるために公共職業安定所に出頭することができなかつたとき。

 天災その他やむを得ない理由のために公共職業安定所に出頭することができなかつたとき。

雇用保険法 第十五条第4項

終わりに

いかがでしたでしょうか。

このあと取り上げる雇用保険法の基本手当は、雇用保険法科目の中で最も重要なテーマになります。

その前提となる失業の認定もきちんとおさえておきましょう。

今後も、このブログでは、社労士試験合格を目指す方に役立つ情報などを発信します。

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