【しっかり覚えよう】労働基準法 労働者と使用者

労働者と使用者の定義

労働基準法は基本理念において、労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決. 定すべきものであるとされています。

労働者と使用者にはそれぞれ定義があり、社労士試験でよく問われるテーマになりますので、きちんと押さえましょう。

条文で確認しよう

第九条

この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

第十条

この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

過去問にチャレンジ

平成29年度

同居の親族は、事業主と居住及び生計を一にするものとされ、その就労の実態にかかわらず労働基準法第9条の労働者に該当することがないので、当該同居の親族に労働基準法が適用されることはない。

答え「×」

労働者に該当することがあります。

同居の親族であっても、常時同居の親族以外の労働者を使用する事業において一般事務又は現場作業等に従事し、かつ、次の1,2の条件を満たすものについては、労働基準法上の労働者と取り扱うとされています。

  1. 業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること。
  2. 就労の実態が当該事業場における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること。

令和4年度

労働基準法の労働者であった者は、失業しても、その後継続して求職活動をしている間は、労働基準法の労働者である。

答え「×」

「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいうので、失業して、事業又は事務所に「使用される者」に該当しない者は、労働者ではありません。

気を付けたいのは、労働組合法3条の労働者は、失業者も労働者として取り扱われます。

この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう。

労働組合法 第三条(労働者)

失業者と労働者、労働協約の失効と一般的拘束力の効果

【失業者と労働者】

本条にいう「労働者」とは他人との間に使用従属の関係に立つて労務に服し、報酬を受けて生活する者をいうのであつて、現に就業していると否とを問わないから、失業者をも含む。

(参考)

第三条の「労働者」に失業者は含まれるか。

昭和23年6月5日労発262号

令和4年度

株式会社の代表取締役は、法人である会社に使用される者であり、原則として労働基準法の労働者になるとされている。

答え「×」

労働者は「事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」ので、株式会社の代表取締役は労働者となりません。

これは労働関係法規全般に言えることですが、社会保険法規ではまたことなる取り扱いがされています。

詳しくは、以下の記事で解説していますので、よろしければご覧ください。

平成26年

労働基準法にいう「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいうと定義されている。

答え「×」

設問のように定義されていません。法第十条の通りですが、単に上司の命令の伝達者に過ぎない場合は使用者とはみなされないことに注意しましょう。(昭和23年9月13日発基17号)

法第一〇条関係

(一) 「使用者」とは本法各条の義務についての履行の責任者をいひ、その認定は部長、課長等の形式にとらわれることなく各事業において、本法各条の義務について実質的に一定の権限を与へられてゐるか否かによるが、かゝる権限が与へられて居らず、単に上司の命令の伝達者にすぎぬ場合は使用者とはみなされないこと。

昭和23年9月13日発基17号

終わりに

いかがでしたでしょうか。

一見単純に見えるテーマですが、その実、とても広がりもあり、試験でも問われやすい部分です。

問題を解きながら定義の定着を図りましょう!

今後も、このブログでは、社労士試験合格を目指す方に役立つ情報などを発信します。

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