【まずは基本から】雇用保険法 算定対象期間と被保険者期間

算定対象期間

基本手当を受給するには、原則として離職前の2年間に、被保険者期間が12ヶ月以上必要です。

この2年間を算定対象期間といいます。

受給要件の特例

次の場合は、離職前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上が受給要件となります。

  • 倒産・解雇等の理由により離職した場合
  • 期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由により離職した場合

受給要件の緩和

離職前2年間(倒産・解雇等の場合は1年間)の間に疾病、負傷、出産、育児などの理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった場合は、これらの理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を加えた期間(加算後の期間が4年間を超えるときは4年間が最長)により受給に必要な被保険者期間があるか判断します。

詳しくはハローワークホームページに記載があります。

ハローワークインターネットサービス - 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

被保険者期間

離職日から1か⽉ごとに区切っていた期間に、①賃⾦⽀払の基礎となる日数が11日以上ある月、または、②賃⾦⽀払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を1か月として計算します。

このうち、②については令和2年に改正された内容です。

区切ることにより1か月未満の期間が生ずる場合、その1か月未満の期間の日数が15日以上あり、かつ、その期間内に賃金が支払われた日数が11日以上あるときは、その期間を2分の1か月として計算します。

過去問にチャレンジ

平成26年度

事業主の命により離職の日以前外国の子会社に出向していたため日本での賃金の支払いを引き続き5年間受けていなかった者は、基本手当の受給資格を有さない。

答え「〇」

算定対象期間の延長は最大で4年間までとなります。したがって、5年間海外に出向していた設問者は算定対象期間がないため、受給資格を有しません。

基本手当は、被保険者が失業した場合において、離職の日以前2年間(当該期間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかつた被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかつた日数を2年に加算した期間(その期間が四年を超えるときは、4年間)。第十七条第一項において「算定対象期間」という。)に、次条の規定による被保険者期間が通算して12箇月以上であつたときに、この款の定めるところにより、支給する。

雇用保険法 第十三条第一項(基本手当の受給資格)

第十八条 法第十三条第一項の厚生労働省令で定める理由は、次のとおりとする。

 事業所の休業

 出産

 事業主の命による外国における勤務

 国と民間企業との間の人事交流に関する法律第二条第四項第二号に該当する交流採用

 前各号に掲げる理由に準ずる理由であつて、管轄公共職業安定所の長がやむを得ないと認めるもの

雇用保険法施行規則 第18条(法第十三条第一項の厚生労働省令で定める理由)

平成26年度

【被保険者期間と基本手当の受給資格に関して。なお、「被保険者期間」とは、雇用保険法第14条に規定する被保険者期間のことである】
被保険者が平成26年4月1日に就職し、同年9月25日に離職したとき、同年4月1日から4月25日までの間に賃金の支払の基礎になった日数が11日以上あれば、被保険者期間は6か月となる。

答え「×」

設問の場合は法第14条第1項の但し書き5か月と2分の1か月として算入されます。

被保険者でなくなった日の前日からさかのぼって1か月ずつ区切るため、最後の月に端数が出ることがあります。

そうなった場合の取り扱いについて規定されています。

被保険者期間は、被保険者であつた期間のうち、当該被保険者でなくなつた日又は各月においてその日に応当し、かつ、当該被保険者であつた期間内にある日(その日に応当する日がない月においては、その月の末日。以下この項において「喪失応当日」という。)の各前日から各前月の喪失応当日までさかのぼつた各期間(賃金の支払の基礎となつた日数が十一日以上であるものに限る。)を一箇月として計算し、その他の期間は、被保険者期間に算入しない。ただし、当該被保険者となつた日からその日後における最初の喪失応当日の前日までの期間の日数が十五日以上であり、かつ、当該期間内における賃金の支払の基礎となつた日数が十一日以上であるときは、当該期間を二分の一箇月の被保険者期間として計算する。

雇用保険法 第14条第1項

令和元年度

雇用保険法第9条の規定による被保険者となったことの確認があった日の2年前の日前における被保険者であった期間は被保険者期間の計算には含めないが、当該2年前の日より前に、被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期がある場合は、その時期のうち最も古い時期として厚生労働省令で定める日以後の被保険者であった期間は、被保険者期間の計算に含める。

答え「〇」

原則として、被保険者となったことの確認があった日から被保険者期間として遡れるのは保険料納付の時効にかからない2年前の日までということになっています。

ただし、例えば事務的な処理のミスなどにより、保険料を納付しているにも関わらず被保険者資格を取得していない方(特例対象者)については、被保険者の負担すべき額に相当する額が賃金から控除されていたことが明らかである時期のうち、最も古い時期として厚生労働省令で定める日までの期間は、被保険者期間として算入されます。

これは言わば救済的な措置として法改正されたものです。

厚生労働大臣は、第七条の規定による届出若しくは前条の規定による請求により、又は職権で、労働者が被保険者となつたこと又は被保険者でなくなつたことの確認を行うものとする。

雇用h兼法 第九条(確認)

 前項の規定により被保険者期間を計算する場合において、次に掲げる期間は、同項に規定する被保険者であつた期間に含めない。

 最後に被保険者となつた日前に、当該被保険者が受給資格(前条第一項(同条第二項において読み替えて適用する場合を含む。)の規定により基本手当の支給を受けることができる資格をいう。次節から第四節までを除き、以下同じ。)、第三十七条の三第二項に規定する高年齢受給資格又は第三十九条第二項に規定する特例受給資格を取得したことがある場合には、当該受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格に係る離職の日以前における被保険者であつた期間

 第九条の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の二年前の日(第二十二条第五項に規定する者にあつては、同項第二号に規定する被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期のうち最も古い時期として厚生労働省令で定める日)前における被保険者であつた期間

雇用保険法 第十四条第二項

終わりに

いかがでしたでしょうか。

雇用保険の算定対象期間と被保険者期間はこれから始まる失業等給付の基本となる考え方です。

ここを躓くとあとが大変ですので、しっかり見直しをしておきましょう.

今後も、このブログでは、社労士試験合格を目指す方に役立つ情報などを発信します。

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