被保険者をまとめる
今回は雇用保険法から、被保険者のまとめです。
雇用保険の被保険者の種類は4種類ですが、受給資格者と混在しがちですので、試験対策としてきちんと整理しておく必要があります。
実際の試験では、雇用保険の該当者か否かを問うパターンが多いので、過去問を見ながら判断できるようになりましょう。
条文紹介
雇用保険法 第六条(適用除外)
次に掲げる者については、この法律は、適用しない。
一 一週間の所定労働時間が二十時間未満である者(第三十七条の五第一項の規定による申出をして高年齢被保険者となる者及びこの法律を適用することとした場合において第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く。)
二 同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用されることが見込まれない者(前二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及びこの法律を適用することとした場合において第四十二条に規定する日雇労働者であつて第四十三条第一項各号のいずれかに該当するものに該当することとなる者を除く。)
三 季節的に雇用される者であつて、第三十八条第一項各号のいずれかに該当するもの
四 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条、第百二十四条又は第百三十四条第一項の学校の学生又は生徒であつて、前三号に掲げる者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者
五 船員法(昭和二十二年法律第百号)第一条に規定する船員(船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第九十二条第一項の規定により船員法第二条第二項に規定する予備船員とみなされる者及び船員の雇用の促進に関する特別措置法(昭和五十二年法律第九十六号)第十四条第一項の規定により船員法第二条第二項に規定する予備船員とみなされる者を含む。以下「船員」という。)であつて、漁船(政令で定めるものに限る。)に乗り組むため雇用される者(一年を通じて船員として適用事業に雇用される場合を除く。)
六 国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であつて、厚生労働省令で定めるもの
雇用保険法 第六条(適用除外)
過去問にチャレンジ
平成23年度
同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者であっても、前2月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者は、被保険者となり得る。
答え「〇」
法第六条第二項のとおりです。
ただし、気を付けなければいけないのは、「適用除外」規定ですので、これに該当する場合は被保険者じゃないよってこと。
同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用されることが見込まれない者(前二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及びこの法律を適用することとした場合において第四十二条に規定する日雇労働者であつて第四十三条第一項各号のいずれかに該当するものに該当することとなる者を除く。)
雇用保険法 第四十二条(日雇労働者)
この節において日雇労働者とは、次の各号のいずれかに該当する労働者(前二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及び同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用された者(次条第二項の認可を受けた者を除く。)を除く。)をいう。
一 日々雇用される者
二 三十日以内の期間を定めて雇用される者
まとめるこんな感じ(ほかの適用除外規定はいったん置いといて)
- 同一事業主に31日以上雇用される見込みあり〇
- 同一事業主に31日以上雇用される見込みはないけど、前二月の各月で同一事業主に18日以上雇用される〇
- 同一事業主に31日以上雇用される見込みはないけど、日雇労働被保険者に該当する〇
したがって、設問の場合は被保険者となりうる。
平成17年度
4か月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される者は、原則として被保険者とならないが、その期間の満了後も同一の事業主に引き続き雇用された場合には、当初の季節的事業における雇用開始の日に被保険者になったものとみなされる。
答え「×」
とてもいい問題だと思います。(何様だっていう)
季節的に雇用されるものは社会保険科目でもよく出てきますね。
基本的には一緒ですが、異なるものもあるので、きちんと押さえておきましょう。
季節的に雇用されるもので、4か月以内の期間を定めて雇用される者、または所定労働時間が週20時間以上30時間未満の者は被保険者となりません。(日雇労働被保険者を除く。)
つまり、季節的に雇用されるものでも当初から4か月を超え、かつ、所定労働時間が週30時間以上の場合は、被保険者となります。
季節的に雇用される者とは
「季節的に雇用される者」とは、季節的業務に期間を定めて雇用される者又は季節的に入離職する者をいう。この場合において、季節的業務とは、その業務が季節、天候その他自然現象の影響によって一定の時季に偏して行われるものをいう。
また、期間を定めないで雇用された者であっても、季節の影響を受けることにより、雇用された日から1年未満の間に離職することが明らかであるものは、季節的に雇用される者に該当する。
さらに、「季節的業務に期間を定めて雇用される者」と「季節的に入離職する者」のいずれに属するかを厳格に区別する必要はなく、雇用期間が1年未満であるかどうか及び季節の影響を強く受けるかどうかを把握すれば足りる。
ここで、設問にある通り、その期間の満了後も同一の事業主に引き続き雇用された場合はどうでしょう?
所定の期間の満了後も同一の事業主に引き続き雇用された場合には、所定の期間を超えた日から被保険者となります。ただし、雇用される通算期間が4か月を超える場合に限ります。
したがって、設問の「雇用開始の日に被保険者になったものとみなされる。」は誤りです。
プラスαを覚えておきましょう。
健康保険法および厚生年金保険法における季節的事業に使用される者
季節的業務に使用される者(継続して四月を超えて使用されるべき場合を除く。)は適用除外として、被保険者とはなりません。
一方で、契約満了後も引き続き使用される場合でも、被保険者とならない点が、雇用保険法の被保険者と異なります。
このことは昭和9年4月17日 保発第191号に記載があります。
○季節的業務ニ使用セラルル者ノ中被保険者タラサル者ニ関スル件
昭和九年四月一七日保発第一九一号
(各地方長官(東京府ヲ除ク)・各健康保険組合理事あて社会局保険部長通知)
季節的業務ニ使用セラルル者ニシテ継続シテ一二○日以上使用セラルヘキ場合以外ノ者ハ大正十五年十月内務省令第四十七号(法第十三条ノ二第一項第三号)ニ依リ健康保険ノ被保険者タラサルモノニ有之候処此ノ者ハ当初一二〇日未満使用セラルヘキ予定ナリシモ業務ノ都合其ノ他ノ事情ニ因リ継続シテ一二○日以上使用セラルルコトト為リタル場合ニ於テモ被保険者タラサルモノニ有之
追テ昭和二年二月三日付保発第七八号通牒ハ爾今本件ノ通変更セラレタルモノト御了知相成度
違いをはっきり意識しましょう。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
雇用保険法はとにかく覚えることがたくさんあるので、一つ一つ丁寧に学習していく必要があります。
また、今回紹介したように被用者保険等と重なる部分もありますので、横断的に学習を進めていきましょう。
今後も、このブログでは、社労士試験合格を目指す方に役立つ情報などを発信します。
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