【改正に関連】国民年金法 保険料の免除

保険料免除の種別を確認

今日は国民年金法の産前産後期間の免除と法定免除を取り上げます。

最近、妻が無事に出産したこともあり、よくよく思い出してみようと思います。
(ただ、私の妻は厚生年金の被保険者なので、直接はあまり関係ありませんが。)

免除制度はこのほかにも所得に応じた申請免除がありますが、話を広げるとややこしくなるので、まずはこの二つに絞りたいと思います。

改正ポイントに関連して

最近の話題としては、国民健康保険制度でも、国民年金制度と同様の産前産後期間の免除制度を取り入れることが決まったそうで、令和6年1月から適用になるそうです。

この辺りは改正ポイントで出るんじゃないでしょうか??

まずは国民年金法におけるこれらの制度がどうなっているのかをきちんとおさらいしましょう!

条文を確認

国民年金法 第八十八条(保険料の納付義務)

被保険者は、保険料を納付しなければならない。

2 世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。

3 配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。

国民年金法 第八十八条(保険料の納付義務)

国民年金法 第八十八条の二

被保険者は、出産の予定日(厚生労働省令で定める場合にあつては、出産の日。第百六条第一項及び第百八条第二項において「出産予定日」という。)の属する月(以下この条において「出産予定月」という。)の前月(多胎妊娠の場合においては、三月前)から出産予定月の翌々月までの期間に係る保険料は、納付することを要しない。

国民年金法 第八十八条の二

国民年金法 第八十九条

被保険者(前条及び第九十条の二第一項から第三項までの規定の適用を受ける被保険者を除く。)が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その該当するに至つた日の属する月の前月からこれに該当しなくなる日の属する月までの期間に係る保険料は、既に納付されたものを除き、納付することを要しない。

国民年金法 第八十九条

第九十条の二

次の各号のいずれかに該当する被保険者等から申請があつたときは、厚生労働大臣は、その指定する期間(前条第一項若しくは次項若しくは第三項の規定の適用を受ける期間又は学生等である期間若しくは学生等であつた期間を除く。)に係る保険料につき、既に納付されたものを除き、その四分の三を納付することを要しないものとし、申請のあつた日以後、当該保険料に係る期間を第五条第四項に規定する保険料四分の三免除期間(第九十四条第一項の規定により追納が行われた場合にあつては、当該追納に係る期間を除く。)に算入することができる。ただし、世帯主又は配偶者のいずれかが次の各号のいずれにも該当しないときは、この限りでない。

 当該保険料を納付することを要しないものとすべき月の属する年の前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以下であるとき。

 前条第一項第二号及び第三号に該当するとき。

 保険料を納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚生労働省令で定める事由があるとき。

一 障害基礎年金又は厚生年金保険法に基づく障害を支給事由とする年金たる給付その他の障害を支給事由とする給付であつて政令で定めるものの受給権者(最後に同法第四十七条第二項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態(以下この号において「障害状態」という。)に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく三年を経過した障害基礎年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)その他の政令で定める者を除く。)であるとき。

二 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)による生活扶助その他の援助であつて厚生労働省令で定めるものを受けるとき。

三 前二号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める施設に入所しているとき。

2 前項の規定により納付することを要しないものとされた保険料について、被保険者又は被保険者であつた者(次条から第九十条の三までにおいて「被保険者等」という。)から当該保険料に係る期間の各月につき、保険料を納付する旨の申出があつたときは、当該申出のあつた期間に係る保険料に限り、同項の規定は適用しない。

国民年金法 第八十九条

過去問にチャレンジ

令和元年度

令和元年10月31日に出産予定である第1号被保険者(多胎妊娠ではないものとする。)は、令和元年6月1日に産前産後期間の保険料免除の届出をしたが、実際の出産日は令和元年11月10日であった。この場合、産前産後期間として保険料が免除される期間は、令和元年10月分から令和2年1月分までとなる。 

答え「×」(ドラッグで見えるようになります。)

答えは令和元年9月から12月まで

まず前提として、条文を抑えましょう。

出産の予定日(厚生労働省令で定める場合にあつては、出産の日。第百六条第一項及び第百八条第二項において「出産予定日」という。)の属する月(以下この条において「出産予定月」という。)の前月(多胎妊娠の場合においては、三月前)から出産予定月の翌々月までの期間に係る保険料は、納付することを要しない。

(   )でトビトビなので分かりづらいですが、要は「出産予定日の属する月の前月から翌々月まで」です。

設問の場合、予定日が10月31日なので、その前月、つまり9月から12月までとなります。

ただし、この設問でややこしいのは、実際の出産日が11月10日ということで、予定日とずれてしまったんですね。

予定日どおりでないなんてあるあるですよ。

さて、この場合はどうなるんでしょうか。

ここでポイントになるのは(   )で飛ばした中身です。

出産の予定日(厚生労働省令で定める場合にあつては、出産の日。…。)

ここでいう厚生労働省令で定める場合とは、「出産後に免除の届出を行った場合」のことです。

なので、厚生労働省などではこのようにお知らせしています。

免除する期間は出産予定日の前月から出産予定月の翌々月までとし、原則として変更は行わない。

そりゃ、そうですよね。

出産日が予定日通りなんてことは滅多にありませんから、月が変わるたびに変更なんてしてたら事務が大変です。

そして、例外として、出産後に免除の届出を行った場合に限り、実際の出産日を基点とするってことですね。

ちなみに、この免除の届出は出産予定日の6か月前からできるようで、設問の方も令和元年6月1日に届出をしているということで、出産日に関わらず、出産予定日で期間を決めるということでした。

詳しくは日本年金機構のホームページで紹介されています。

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20180810.html

令和2年度

保険料全額免除期間とは、第1号被保険者としての被保険者期間であって、法定免除、申請全額免除、産前産後期間の保険料免除、学生納付特例又は納付猶予の規定による保険料を免除された期間(追納した期間を除く。)を合算した期間である。

答え「×」

設問のうち、「産前産後期間の保険料免除」は全額免除期間ではなく「保険料納付済期間」として取り扱われ、年金の額にも反映されるほか、死亡一時金及び脱退一時金の支給要件においても、保険料納付済期間に算入されます。

また、付加保険料も納付することもできます。

これらはほかの保険料免除にはない取り扱いで、産前産後期間の免除が特に優遇されているところが個人的に気に入っています。

こういう優しい世界が広がりますように。

これらのことは厚生労働省の事務連絡に詳細が載っていますので、目を通してみてください。

(平成30年12月6日)(年管管発1206第1号)

国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除制度の施行に伴う事務の取扱いについて

(2) 他の免除制度との関係等

産前産後免除期間は保険料納付済期間に算入されるため、産前産後免除の要件を満たしている場合には法定免除又は申請免除よりも優先される。また、産前産後免除期間は、死亡一時金及び脱退一時金の支給要件においても、保険料納付済期間に算入される。

(3) 付加保険料について

産前産後免除は、所得の有無にかかわらず保険料の負担を免除するものであることから、当該期間についても付加保険料を納付することができる。なお、その申出等の取扱いについては、これまでと変更はない。

・国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除制度の施行に伴う事務の取扱いについて(◆平成30年12月06日年管管発第1206001号)

平成26年度

第1号被保険者(産前産後期間の保険料免除及び保険料の一部免除を受ける者を除く。)が、生活保護法による生活扶助を受けるに至ったときは、その該当するに至った日の属する月の翌月からこれに該当しなくなる日の属する月の前月までの期間に係る保険料は、既に納付されたものを除き、納付することを要しない。(一部改正)

答え「×」

ちなみに(一部改正)となっている部分がどこかというと、(   )の中、「産前産後期間の保険料免除…を受けるものを除く」の部分です。

産前産後期間の保険料免除は平成31年4月から始まった制度のため、平成26年当時にはまだ存在しない制度でした。

こう見ると結構最近なんですね。

「少子化に歯止めを」なんて言うんだから、もっと妊婦さんや子育て世代に優しい制度設計にしないとね。

さて、それはおいといて、設問の生活保護法による生活扶助等を受けるときの法廷免除については該当するに至った日の属する月の前月からこれに該当しなくなる日の属する月までとなっています。

これ非常に騙されやすいですよね。

いったん整理しましょう。

被保険者期間

資格を取得した日の属する月からその資格を喪失した日の属する月の前月まで

支給期間

支給すべき事由が発生した日の属する月の翌月から権利が消滅した日の属する月まで

ざっくりとこの2パターンだと思いますので、この2パターンを原則に、例外的なパターンを抑えていくのがいいかもしれません。

こちらも詳しくは日本年金機構のホームページに掲載されています。

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20140710.html

終わりに

いかがでしたでしょうか。

出産、育児には経済的な問題がつきものなので、こういった免除があるとありがたいですね。

子どもやママに優しい世界が広がりますように。

今後も、このブログでは、社労士試験合格を目指す方に役立つ情報などを発信します。

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