【基礎から】労働安全衛生法 得点源にしよう

絶対得点したい科目

労働安全衛生法は労働基準法から派生、独立したことにより成立した法律です。

実際の試験でも労働基準法と一体となって出題されるため、配点は低いです。

しかし、難易度は高くないので、必ず得点したい科目です。

覚える用語や数字なども多いですが、まずは体系的に理解を進めていく必要があります。

社会人の方は自分の職場などと対比できるとイメージしやすいかもしれませんね。

条文の紹介

労働安全衛生法の目的条文と定義です。選択式問題ではこのまま穴埋めすることもあるので、必ずおさえたい条文です。

労働安全衛生法 第一条(目的)

この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。

労働安全衛生法 第一条(目的)

労働安全衛生法 第二条(定義)

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 労働災害 労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。

二 労働者 労働基準法第九条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。

三 事業者 事業を行う者で、労働者を使用するものをいう。

三の二 化学物質 元素及び化合物をいう。

四 作業環境測定 作業環境の実態をは握するため空気環境その他の作業環境について行うデザイン、サンプリング及び分析(解析を含む。)をいう。

労働安全衛生法 第二条(定義)

過去問にチャレンジ

平成29年度

労働安全衛生法は、労働基準法と一体的な関係にあるので、例えば「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、」に始まる労働基準法第1条第2項に定めるような労働憲章的部分は、労働安全衛生法の施行においても基本となる。

答え「〇」

法第一条に「この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、…」とあるとおり、労働安全衛生法も、基本法たる労働基準法と一体となった関係にあり、労働憲章的部分についても、当然労働安全衛生法の基本の部分となります。

昭和47年9月18日発基第91号

(都道府県労働基準局長あて労働事務次官通達)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2042&dataType=1&pageNo=1

以下、抜粋

第二 この法律の基本的事項

一 この法律と労働基準法との関係

この法律は、形式的には労働基準法から分離独立したものとなつているが、安全衛生に関する事項は労働者の労働条件の重要な一端を占めるものというべく、第一条(目的)、第三条第一項(事業者の責務)、附則第四条による改正後の労働基準法第四二条等の規定により、この法律と労働条件についての一般法である労働基準法とは、一体としての関係に立つものであることが明らかにされている。

したがつて、労働基準法の労働憲章的部分(具体的には第一条から第三条まで)は、この法律の施行にあたつても当然その基本とされなければならない。

昭和47年9月18日発基第91号「都道府県労働基準局長あて労働事務次官通達」より

また、詳細は上の通達に掲載されています。
ちなみに、この通達の冒頭に「近年のわが国の産業経済の発展は、世界にも類のない目ざましいものがあり、…」とあるあたりに、時代を感じますね。

平成28年

労働安全衛生法における「労働災害」は、労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいうが、例えばその負傷については、事業場内で発生したことだけを理由として「労働災害」とするものではない。

答え「〇」

労働安全衛生法の「労働災害」の定義は、「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。」とされています。

ちなみに、労働者災害補償保険法の「業務災害」は、「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」としています。

実際の保険給付には業務起因性業務遂行性が求められるので、個別具体的事例が試験で問われることが多いです。

これらのお話は、また労災法のときに。

平成28年度

労働安全衛生法における「事業者」は、労働基準法第10条に規定する「使用者」とはその概念を異にするが、「労働者」は、労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。

答え「〇」

労働安全衛生法に掲げる定義のとおりです。

労働安全衛生法 第二条(定義)

二 労働者 労働基準法第九条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。

ちなみに、労働基準法第九条は「この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」

そして、労働基準法百十六条第2項「この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。」

設問の問はこの二つを合わせたものということになりますね。

ただし、労働基準法百十六条第2項については、現代の内容にそぐわないとして、いろいろ調査をしているところみたいですね。もしかしたら改正があるかも?

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

さらに詳細は次の記事をご覧ください。

家政婦など「家事使用人」の働き方、実態調査へ…労働時間の上限規制なく過労の懸念も
https://www.yomiuri.co.jp/national/20221014-OYT1T50322/

三 事業者 事業を行う者で、労働者を使用するものをいう。

今回の設問の論点はここですね。

労働基準法の使用者の範囲はかなり広く取られています。

労働基準法第十条

使用者とは、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。」

一方で、労働安全衛生法においては、「事業を行う者で、労働者を使用するものをいう。」とその範囲が限定的となっています。

これは、労働安全衛生法が「責任体制の明確化」を目的に掲げていることから、責任を所在をはっきりさせるために、限定的な捉え方をしていると考えられます。

このことも前述の通達に掲載されています。

昭和47年9月18日発基第91号

(都道府県労働基準局長あて労働事務次官通達)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2042&dataType=1&pageNo=1

五 事業者の意味づけ

この法律における主たる義務者である「事業者」とは、法人企業であれば当該法人(法人の代表者ではない。)、個人企業であれば事業経営主を指している。

これは、従来の労働基準法上の義務主体であつた「使用者」と異なり、事業経営の利益の帰属主体そのものを義務主体としてとらえ、その安全衛生上の責任を明確にしたものである。

なお、法違反があつた場合の罰則の適用は、法第一二二条に基づいて、当該違反の実行行為者たる自然人に対しなされるほか、事業者たる法人または人に対しても各本条の罰金刑が課せられることとなることは、従来と異なるところはない。

昭和47年9月18日発基第91号 都道府県労働基準局長あて労働事務次官通達より

終わりに

労働安全衛生法は配点は低いものの、難易度は高くないので確実におさえたい科目です。

とはいえ、覚える内容は多いので、コツコツ学習していくのが良いでしょう。

今後も、このブログでは、社労士試験合格を目指す方に役立つ情報などを発信します。

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