【難しい】国民年金法 目的と給付

試験に出る 国民年金制度の目的

国民年金法は日本の年金制度の基礎部分です。

厚生年金とは同じ年金だけあって、連動しているところが多いですが、制度自体は国民年金の方がシンプルです。

しかし、実際の試験では国民年金の方が細かい内容を問われるので、点数が非常に取りにくい科目の一つです。

今回はそんな国民年金法から第一条(国民年金制度の目的)と第二条(国民年金の給付)を紹介します。この第一条、第二条ともに選択式で狙われやすいところです。

令和5年度試験の選択式問題でも出ましたね。皆さんできましたか??

実際の条文と過去問でしっかり見直しておきましょう!

国民年金法 第一条(国民年金制度の目的)

国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。

国民年金法 第一条(国民年金制度の目的)

国民年金法 第二条(国民年金の給付)

国民年金は、前条の目的を達成するため、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な給付を行うものとする。

国民年金法 第二条(国民年金の給付)

過去問

平成28年度

国民年金法は、「国民年金制度は、日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の [ A ] がそこなわれることを国民の [ B ] によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」と規定している。 

答え 
A「安定」
B「共同連帯」

国民年金法第一条の通りです。

ここで、併せて覚えたいのが、国民の共同連帯をキーワードにしている法律です。

あと二つあるので、一緒に覚えてしまいましょう。

高齢者の医療の確保に関する法律 第一条

この法律は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成及び保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け、もって国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図ることを目的とする。

介護保険法

第1条 この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。

国民年金、後期高齢者医療制度、介護保険、この3つに共通することは何でしょうか。

それは、被保険者の要件が年齢によるものであることです。

  • 国民年金(20歳)
  • 後期高齢者医療制度(75歳)
  • 介護保険(40歳または65歳)

このように関連付けられると、覚えるのも楽ですね。

令和5年度

国民年金は、前条の目的を達成するため、国民の老齢、障害又は死亡に関して [ A ] を行うものとする。

答え「必要な給付」

「保険給付」ではないところがポイント。法律名を見れば一目瞭然です。

  • 国民年金法
  • 厚生年金保険

国民年金にはなぜ「保険」がつかないの?

それは保険の原則「負担なくして給付なし」に関係しています。

ぽんこつ
ぽんこつ

国民年金の保険料だって負担してるよ?

国民年金制度には、保険料の負担なく給付を受けられる制度(免除等を除く)があります。

それは第三十条の四いわゆる「二十歳前傷病による障害基礎年金」です。

国民年金法第三十条の四

疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者が、障害認定日以後に二十歳に達したときは二十歳に達した日において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害認定日において、障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときは、その者に障害基礎年金を支給する。

2 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者(同日において被保険者でなかつた者に限る。)が、障害認定日以後に二十歳に達したときは二十歳に達した日後において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害認定日後において、その傷病により、六十五歳に達する日の前日までの間に、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたときは、その者は、その期間内に前項の障害基礎年金の支給を請求することができる。

つまり、国民年金の被保険者になる二十歳前に初診日がある傷病等で障害等級に該当する程度の障害となった場合は、障害基礎年金が支給されるという仕組みです。

二十歳前傷病も試験頻出なので、改めて触れることにします。

さて、この場合、保険料を負担することなく給付を受けることになるので、「負担なくして給付なし」の保険の原則に当てはまりません。

したがって、国民年金は「国民年金保険」とは言わないし、「保険給付」とも言いません。

公的年金は、国の社会保障制度の1つとして、社会全体で高齢者等の生活を支える制度である。公的年金は、老後の所得保障の柱としての役割を果たしており、より豊かな老後生活のために自助努力として行われている私的年金とは、その目的を異にしている。 

(リスクに備えた「保険」の仕組み) 
公的年金は、人生における様々なリスクに備える機能を有している。 
引退後の老後の生活のためには現役時代に備えておく必要があるが、事前に自分が何歳まで生きるか分からないし、数十年先の老後の物価水準や生活水準がどうなっているかも事前にはわからない。 
公的年金は、終身にわたって年金が受け取れる仕組みにより、各人の必要な期間に応じて年金を受給できる。また、賃金スライドや物価スライドの仕組みにより、物価や賃金が変動したとしても実質的に価値のある年金を受給できる仕組みとなっている。 
さらに、公的年金には万一、障害を負った場合や小さい子どもを残して死亡した場合に備えて、障害年金や遺族年金も用意されている。 
これらは貯蓄にはない保険の機能であり、社会全体の支え合いの仕組みにより、人生における様々なリスクに備えていることになる。

厚生労働省 年金制度の仕組みと考え方_第1_公的年金制度の意義、役割 より

テキストや参考書ももちろんですが、厚生労働省のホームページをたまに見ると勉強になりますね。

終わりに

いかがだったでしょうか。

令和5年の選択式は迷う人が多かったのではないでしょうか。

しかし、なぜそうなっているのかが分かれば、覚えるのに苦労することはありません。

今後も、このブログでは、社労士試験合格を目指す方に役立つ情報などを発信します。

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