健康保険法とは
健康保険法は日本における公的医療保険制度の基本となる法律です。
最近では、マイナンバーカードの健康保険証利用(いわゆるマイナ保険証)にミスが発生していて、連日ニュースでも話題になっていますね。
今回の投稿では、そんな大注目の健康保険法から、第一条(目的)と第二条(基本理念)の条文紹介とそれにまつわる過去問および解説を掲載します。
健康保険法の目的と基本理念
健康保険法は大正11年に制定され、昭和2年に施行された日本で最初の社会保険です。
(制定、施行年について、過去試験で問われたこともあります。)
公的医療保険制度は、大別すると、次の3つに分けられます。
- 国民健康保険
- 被用者医療保険(その中心が健康保険)
- 後期高齢者医療制度
これらはすべて社労士試験の試験範囲ですので、今後整理していきましょう。
健康保険法 第一条 (目的)
この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第一項第一号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
健康保険法 第一条 (目的)
健康保険法 第二条 (基本理念)
健康保険制度については、これが医療保険制度の基本をなすものであることにかんがみ、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度及び後期高齢者医療制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ、その結果に基づき、医療保険の運営の効率化、給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ、実施されなければならない。
健康保険法 第二条 (基本理念)
過去問にチャレンジ
平成21年度
健康保険法は、業務外の事由による疾病、負傷、死亡、出産を対象としているが、業務上の傷病として労働基準監督署に認定を申請中の未決定期間は、一応業務外の傷病として健康保険から給付を行い、最終的に業務上の傷病と認定された場合には、さかのぼって給付相当額の返還が行われる。
答え「×」
前段は健康保険法第一条のとおりです。健康保険法は労働者またはその被扶養者の業務災害以外の疾病等に関し、保険給付を行います。
対象者 | 事由 | 適用される制度 |
---|---|---|
被用者以外 | 国民健康保険法 | |
被用者 | 業務災害 | 労働者災害補償保険 |
被用者 | 業務災害以外 | 健康保険 |
今回の問題の論点は後段の部分です。業務災害に認定を申請中の未決定期間中の保険給付がどうなるのかということです。
行政通達 昭和28年4月9日(保文発2014号)
業務上の傷病として労働基準局 にその認定を申請し未決定の期間は、一応業務上の取扱をし、最終的に業務上の傷病でないと認定されたときに、 …中略… さかのぼって療養費、傷病手当金の給付を行う。
一般的に業務災害の申請をされてから認定されるまで、1~3か月程度かかると言われています。
その間、保険給付を受けられないのはあまりにも不都合なので、通達の通り、一応業務上の取り扱いをするという運用をしています。
平成30年度
健康保険制度は、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度及び後期高齢者医療制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せて5年ごとに検討が加えられることになっている。
答え「×」
後段:5年ごとに検討が加えられる
健康保険法第二条「…常に検討が加えられ、…」
再掲
健康保険法 第二条 (基本理念)
健康保険制度については、これが医療保険制度の基本をなすものであることにかんがみ、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度及び後期高齢者医療制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ、その結果に基づき、医療保険の運営の効率化、給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ、実施されなければならない。
なんというか、こういうのでいいんだよって問題がたくさん出てくれればいいのにと愚痴ってみる。
ちなみに、5年ごとといえば
- 【協会けんぽ】2年ごとに5年間の収支の見通しの作成を義務
- 【健康保険組合】再編、統合して設立した地域型健康保険組合が、5年間まで不均一の保険料率を設定可能
- 【国民年金・厚生年金】少なくとも5年ごとに財政の現況及び見通しを作成
といったように、一つのキーワードから連想していろいろ思い出すようにすると学習の効率が高まりますよ。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
被保険者や給付の種類などとにかく覚えることがたくさん💦
個人的には高額医療療養費と高額介護合算療育費が苦手です。
今後も、このブログでは、社労士試験合格を目指す方に役立つ情報などを発信します。
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