健康保険法は、私たちの健康を守るための重要な法律の一つです。
その中でも、療養費の規定は、私たちが病気やケガをしたときに必要な医療費をどのように補償するかを定めています。
しかし、その詳細は複雑で、理解するのは容易ではありません。
本記事では、健康保険法における療養費の規定を詳しく解説し、その適用範囲や計算方法、手続きなどを明確に説明します。
これにより、読者の皆様が自身の健康と医療費についてより深く理解し、適切な医療を受けるための知識を得ることができます。
療養費
支給要件
健康保険法における療養費は、以下の給付が困難であると保険者が認める場合に支給されます。
また、被保険者が保険医療機関等以外の病院、診療所、薬局その他の者から診療、薬剤の支給または手当を受けた場合に、保険者がやむを得ないものと認めるときに、療養の給付等に代えて支給されます。
療養費の額
保険者が健康保険の基準で計算した額(実際に支払った額を超える場合は、実際に支払った金額)から、その額に一部負担割合を乗じた額を差し引いた額が療養費として支給されます。
また、海外での療養についても、特定の条件下で療養費が支給される場合があります。
これらの規定は、労働者が病気やケガをしたときに必要な医療費を補償するためのもので、労働者の健康を保護するための重要な要素となっています。
訪問看護療養費
健康保険法における訪問看護療養費は、居宅で療養している人が、かかりつけの医師の指示に基づいて訪問看護ステーションの訪問看護師から療養上の世話や必要な診療の補助を受けた場合、その費用が訪問看護療養費として給付されます。
支給要件
訪問看護療養費の支給を受けるための要件は以下のようになっています。
額の計算
訪問看護療養費の額は、厚生労働大臣が定める基準にしたがって算出した額から、患者が負担する基本利用料を控除した額です。訪問看護の基本利用料は、被保険者、被扶養者ともに3割となっています。
費用の支払い
訪問看護療養費は、保険者が被保険者に代わって、指定訪問看護事業者にその費用を直接支払うこととなっており、患者は、直接基本利用料を支払うことになります。また、患者は、交通費・おむつ代などの実費や特別サービス(営業時間外の対応等)を希望して受けた場合の特別料金を支払うことになります。
移送費
健康保険法第97条では、被保険者が療養の給付を受けるために病院や診療所に移送されたとき、移送費として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支給することが規定されています。ただし、その支給は保険者が必要であると認める場合に限られます。
移送費の算定
健康保険法規則第80条では、移送費の算定方法が定められています。具体的には、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定した金額とし、ただし、現に移送に要した費用の金額を超えることはできません。
支給の要件
移送費の支給は、次の3つの条件が全て満たされた場合に限られます。
- 移送の目的である療養が、保険診察として適切であること。
- 患者が、療養の原因である病気やけがにより移動が困難であること。
- 緊急・その他、やむを得ないこと。
これらの規定は、労働者が病気やけがで移動が困難な場合に、必要な医療を受けるための移送費用を補償するためのもので、労働者の健康を保護するための重要な要素となっています。
被扶養者が受ける療養費等
家族療養費
家族療養費は、被扶養者が病気やけがに対して、その療養に要する費用の7割(未就学児の場合は8割、70歳~74歳の方の場合は8割(ただし、平成25年3月31日までは9割))(現役並み所得者は7割))相当額を現物給付することになっています。
具体的には、被扶養者が外来で保険診療を受けたときは診療費の3割(未就学児は2割、70歳~74歳の方の場合は2割(ただし、平成25年3月31日までは1割(現役並み所得者は3割))相当額を保険医療機関などに支払えばよいことになります。
家族訪問看護療養費
健康保険法における家族訪問看護療養費は、被保険者の被扶養者が指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けた場合に、その費用が家族訪問看護療養費として給付されます。
支給要件や支払いなどは、被保険者が受ける訪問看護療養費と同様です。
家族移送費
健康保険法第97条では、被保険者が療養の給付を受けるために病院や診療所に移送されたとき、移送費として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支給することが規定されています。ただし、その支給は保険者が必要であると認める場合に限られます。
終わりに
健康保険法における療養費の規定は、私たちが病気やケガをしたときに必要な医療費をどのように補償するかを定めています。
本記事では、その詳細について解説しました。これらの規定を理解することで、私たちは自身の健康と医療費についてより深く理解することができます。
また、それにより適切な医療を受けるための知識を得ることができます。健康は私たちの生活の基盤であり、それを守るためには、健康保険法のような法律の理解が不可欠です。本記事がその一助となれば幸いです。
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