労働安全衛生法は、労働者の健康と安全を保護するための重要な法律です。
その中でも、第65条に規定されている作業環境測定と、第68条などに規定されている健康の保持増進のための措置は、労働者の健康を守るための重要な要素です。
作業環境測定は、労働者が有害な因子にどの程度さらされているかを把握するためのものであり、その結果に基づいて適切な措置を講じることで、労働者の健康を保護します。
一方、健康の保持増進のための措置は、労働者の健康状態を的確に把握し、必要な措置を講じることを目指しています。これらの措置は、労働者の健康を保護し、労働災害を防止するためのものです。
本記事では、これらの規定について詳しく解説します。
作業環境測定
労働安全衛生法第65条では、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場について、必要な作業環境測定を行い、その結果を記録することが規定されています。
また、同法第65条第2項では、作業環境測定は、厚生労働大臣の定める「作業環境測定基準」に従って行わなければならないことが規定されています。
目的
作業環境測定の目的は、作業環境中に有害な因子がどの程度存在し、その作業環境で働く労働者がこれらの有害な因子にどの程度さらされているかを把握することです。
有害な因子としては、有機溶剤・鉛およびその化合物・特定化学物質等の有害な化学物質、じん肺の原因となる粉じん等の有害な物質のほか、電離放射線、電磁波、有害光線、騒音、振動、高温・低温、高湿度等の物理的因子等があります。
結果の評価
労働安全衛生法第65条の2では、作業環境測定結果の評価に基づいて、労働者の健康を保持するため必要があると認められるときは、厚生労働省令で定めるところにより、施設または設備の設置または整備、健康診断の実施その他の適切な措置を講じ、その結果を記録することが規定されています。
具体的な測定方法や評価基準については、厚生労働省の定める「作業環境測定基準」や「作業環境評価基準」に従って行われます。
作業環境測定準
作業環境測定基準には、試料空気の捕集方法(液体・固体・直接・冷却凝縮・ろ過捕集方法)、測定点の設計、分析方法等が定められています。
具体的には、試料空気の捕集方法(液体・固体・直接・冷却凝縮・ろ過捕集方法)、測定点の設計、分析方法等が定められています。
また、作業環境測定基準に従った測定が行われる作業場は、労働安全衛生法施行令第21条で次の10種類の作業場をあげています。
- 土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場
- 暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場
- 著しい騒音を発する屋内作業場
- 坑内の作業場で一定のもの
- 中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の室で事務所の用に供されるもの
- 放射線業務を行う作業場
- 特定化学物質(第1類物質及び第2類物質)を製造し、又は取り扱う屋内作業場等及び石綿等を取り扱い、又は試験研究のために製造する屋内作業場
- 一定の鉛作業を行う屋内作業場
- 酸素欠乏危険作業場所において作業を行う場合の当該作業場
- 有機溶剤(第1種有機溶剤等及び第2種有機溶剤)を製造し、又は取り扱う屋内作業場
これらの作業場における作業環境測定は、「作業環境測定士」によって行われなければならないこととされています。これらの基準は、作業環境の実態を正確に把握し、労働者の健康を保護するためのものです。
これらの基準は、作業環境の実態を正確に把握し、労働者の健康を保護するためのものです。
健康の保持増進
労働安全衛生法第68条では、労働者の健康の保持増進を図るために以下の3つの措置が総合的に機能することが必要とされています。
健康管理手帳
健康管理手帳は、がんその他の重度の健康障害を発生させるおそれのある業務に従事して要件を満たす方に対して、離職の際または離職の後に都道府県労働局長に申請し審査を経た上で交付されます。
健康管理手帳の交付を受けると、指定された医療機関で定められた項目についての健康診断を決まった時期に年2回(じん肺は年1回)無料で受けることができます。
以上の措置は、労働者の健康を保護し、労働災害を防止するためのものです。具体的な措置は、業務の内容や作業環境、労働者の健康状態などにより異なります。
終わりに
労働安全衛生法に基づく作業環境測定と健康の保持増進の措置は、労働者の健康を守り、労働災害を防止するための重要な要素です。
これらの規定を理解し、適切に実施することで、労働者一人ひとりが安全で健康的な作業環境で働くことが可能となります。
また、これらの措置は、労働者の健康を保護するだけでなく、生産性の向上にも寄与します。したがって、これらの規定の遵守は、企業にとっても重要な課題となります。
本記事を通じて、労働安全衛生法の規定についての理解が深まり、作業環境測定と健康の保持増進のための措置の重要性を再認識していただければ幸いです。
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