あなたの退職後の生活は、どのように見えますか?それはあなたがいつ、そしてどのように厚生老齢年金を受け取るかによって大きく左右されます。
この記事では、厚生老齢年金の支給の繰り上げと繰り下げについて詳しく解説し、それぞれの選択があなたの未来にどのような影響を及ぼすかを明らかにします。
あなたの選択が、あなた自身、そしてあなたの家族の未来をどのように変えるかを理解することは、賢明な選択をするために不可欠です。この記事が、その一助となれば幸いです。
老齢基礎年金の繰り上げ・繰り下げについては次の記事で解説しています。
老齢厚生年金の支給の繰り上げ
厚生年金保険法附則第7条の3には、厚生老齢年金の繰り上げ支給について規定されています。
繰り上げ支給の要件
一定の条件を満たす者は、60歳以上65歳未満である場合に、厚生老齢年金の支給を繰り上げて受けることができます。
具体的には、被保険者期間を有し、かつ、国民年金法の規定による任意加入被保険者でないものが対象となります。
繰り上げ支給による減額
繰り上げ支給の請求をした場合、その請求があった日の属する月から、その者に老齢厚生年金を支給することとされています。
そして、繰り上げ支給の老齢厚生年金の額は、老齢厚生年金の額から政令で定める額を減じた額となります。
具体的には、繰り上げた1ヶ月あたり0.4%の年金額が減額され、最大で24%の減額となります。
ただし、昭和37年4月1日以前に生まれた方の場合、繰り上げた1ヶ月あたりの減額率は0.5%で、最大で30%の減額となります。
年金額の改定
繰り上げ支給の老齢厚生年金の受給権者であって、繰り上げの請求があった日以後の被保険者期間を有するものが65歳に達したときは、65歳に達した日の属する月前における被保険者であった期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とし、65歳に達した日の属する月の翌月から、年金の額を改定することとされています。
年金額の改定については、以下の記事で詳しく解説しています。
老齢厚生年金の繰下げ支給
厚生老齢年金は原則として65歳から受給が開始されますが、65歳から受給せずに66歳以降に受給を遅らせることによって、本来の受給額よりも割り増した老齢厚生年金を受給することができます。
繰下げ支給の要件
老齢厚生年金は、次の場合、繰り下げ支給を受けることができません。
- 特別支給の老齢厚生年金(繰り下げ制度がありません)
- 昭和27年4月1日以前に生まれた方は、70歳までしか繰り下げ受給ができません(それ以外の方は75歳まで)
- 65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までに、障害厚生年金・遺族厚生年金の受給権がある
繰下げ支給による年金額の増額
繰り下げて受給すると、繰り下げた期間に応じて年金額が増額されます。
具体的には、繰り下げた1ヶ月あたり0.7%の年金額が増額され、最大で84%の増額となります。
損益分岐点
厚生老齢年金額が月額15万円である場合の繰り上げ支給、繰り下げ支給のそれぞれの損得分岐点について説明します。
繰り上げ支給の場合
年金額が減額されます。具体的には、繰り上げた1ヶ月あたり0.4%の年金額が減額され、最大で24%の減額となります。
例えば、65歳で年間180万円(月額15万円)の老齢年金を受給できる人が、60歳0か月で年金の受給を繰上げた場合、65歳の受給開始と比べて、24%減額され、年間136.8万円(月額11.4万円)の老齢年金を60歳から一生涯受け取ることになります。
繰り下げ受給の場合
年金額が増額されます。具体的には、繰り下げた1ヶ月あたり0.7%の年金額が増額され、最大で84%の増額となります。
例えば、65歳で年間180万円(月額15万円)の老齢年金を受給できる人が、70歳0か月まで年金の受取を繰り下げた場合、65歳の受給開始と比べて、42%増額され、年間255.6万円(月額21.3万円)の老齢年金を70歳から一生涯受け取ることになります。
終わりに
厚生老齢年金の繰り上げ受給、繰り下げ受給は、あなたの未来を大きく左右する重要な選択です。どの選択をするかは、あなた自身の生活状況や将来設計によります。
この記事を通じて、その選択がどのようにあなたの未来に影響を及ぼすかを理解し、適切な選択をするための情報を提供できたことを願っています。あなたの選択が、あなた自身、そしてあなたの家族の未来をより良いものにすることを心から願っています。
以上が、厚生老齢年金の繰り上げ・繰り下げについて解説した記事の締めくくりの文章です。どのような選択をするかは、個々の生活状況や将来設計によります。
適切な選択をするためには、十分な情報と理解が必要です。この記事がその一助となれば幸いです。よろしくお願いいたします。
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