労働保険徴収法の確定保険料:制度の理解と適用

ぽんこつ
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労働保険徴収法の確定保険料制度は、事業主が労働保険料を適切に納付するための重要な制度です。しかし、その計算方法や申告手続きは複雑で、理解するのは容易ではありません。

この記事では、確定保険料制度の基本的な概念から計算方法、申告手続きなどを詳しく解説します。この記事を通じて、確定保険料制度の理解を深め、適切な適用を行うための知識を得ることができます。

それでは、一緒に確定保険料制度の理解と適用を進めていきましょう。

確定保険料制度の概要

確定保険料制度とは何か

労働保険徴収法により、労災保険料と雇用保険料は「労働保険料」として、原則的に一括して徴収されます。

労働保険料については次の記事で詳しく解説しています。

労働保険料は毎年6月1日から7月10日までに、事業主が算定期間内の給与をもとに確定保険料と概算保険料を算定・申告し、まとめて前払いをします。これを「年度更新」といいます。

概算保険料については次の記事で詳しく解説しています。

確定保険料は、前年度の保険料を精算するためのもので、保険年度末に賃金総額が確定した後に精算されます。この制度により、労働保険の事業の効率的な運営が図られています。

確定保険料の計算方法

継続事業の場合

継続事業の確定保険料は、前年度(前年4月〜今年3月)に支払った賃金総額(1,000円未満の端数は切り捨てます。以下、同じ)に保険料率(労災保険料率・雇用保険料率・一般拠出金料率)をかけて算出します。

例えば、ある継続事業で前年度の賃金総額が1億円、労災保険料率が0.3%、雇用保険料率が1.0%、一般拠出金料率が0.1%だとすると、確定保険料は以下のように計算されます

確定保険料 = 1億円 × (0.3% + 1.0% + 0.1%) = 1,400,000円

有期事業の場合

有期事業の確定保険料は、その事業の保険関係に係る全期間に使用したすべての労働者に支払った賃金総額に保険料率(労災保険料立・雇用保険料率・一般拠出金料率)をかけて算出します。

確定清算

不足額等の納付

確定保険料が概算保険料を上回った場合、その不足額は確定申告の際に精算され、追加で納付する必要があります。

この精算は、原則として年度更新の期間(例年6月1日から7月10日まで)に行われます。

還付または充当

納付した概算保険料の額が、確定保険料の額を下回る場合、その差額は次の保険年度の労働保険料未納の労働保険料その他この法律の規定による徴収金に充当することができます。

また、事業主が希望すれば、その差額を還付することも可能です。

具体的には、事業主が確定保険料申告書を提出する際、または確定保険料の認定決定の通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に、それぞれ、既に納付した概算保険料の額のうち、確定保険料の額を超える額(以下「超過額」という)の還付を請求したときは、官署支出官又は所轄都道府県労働局資金前渡官吏は、その超過額を還付します。

確定保険料の申告と納付

申告期限

事業主は毎年6月1日から7月10日までに、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せて申告・納付します。

継続事業で、保険年度の途中で保険関係が消滅した場合は、その保険関係が消滅した日から50日以内に申告をする必要があります。

また、有期事業の場合も同様に、保険関係が消滅した日から50日以内に申告をする必要があります。

例えば、6月30日に事業を廃止した場合は、保険関係の消滅は7月1日となり、その日から起算して50日以内となります。

この場合の期限は次の計算のとおり、8月19日となります。

  1. 7月1日+49日=7月50日
  2. 7月50日-31日(7月の日数)=8月19日

申告先

確定保険料が概算保険料より少ない状態で納付する必要がなくても、「都道府県労働局歳入徴収官」に確定保険料申告書を提出する必要があります。

申告書は、あらかじめ労働保険番号、事業の所在地・名称、保険料率等が印書され、都道府県労働局から各事業主あてに送付されます。

確定保険料の認定決定

認定決定とは

事業主が提出した確定保険料申告書の記載に誤りがあり、労働保険料の額が不足していた場合、所轄都道府県労働局歳入徴収官は労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知します。

このとき事業主は、通知を受けた日の翌日から起算して30日以内にその不足額を納付しなければなりません。

また、確定保険料申告書を提出しなかったとき、申告書の記載に誤りがあるときは、政府が職権で確定保険料の額を決定(認定決定)し、事業主に通知することになっています。

その際、追徴金が課されます。

追徴金の徴収

追徴金は、事業主が認定決定により確定保険料を納付する場合、不足額を納付する場合にそれぞれ徴収され、その額は納付すべき額の100分の10となります。

ただし、納付すべき額が1,000円未満の場合は徴収されません。

なお、確定保険料の認定決定および追徴金の通知は、所轄都道府県労働局歳入徴収官が納入告知書により行います。

終わりに

労働保険徴収法の確定保険料についての理解を深めることは、事業主としての責任を果たし、従業員の福祉を守るために重要です。この記事を通じて、その理解が少しでも進んだことを願っています。

法律や制度は複雑であり、時には難解に感じるかもしれませんが、それらを理解し適切に適用することで、事業の安定的な運営と従業員の安心を実現することができます。

今後も労働保険徴収法やその他の労働関連法規についての最新情報を提供し続けますので、ぜひご活用ください。皆様の事業が順調に進むことを心から願っています。

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