入院時の経済的負担を理解する:健康保険法の視点から

入院時の健康保険の給付

入院は体調だけでなく、経済的な負担も伴います。しかし、健康保険制度はその負担を軽減するための給付を提供しています。

この記事では、入院時に健康保険から受けられる給付について詳しく解説します。具体的には、入院時食事療養費と入院時生活療養費について、その申請方法と給付の受け方を説明します。これらの情報を知ることで、入院時の経済的な負担を理解し、適切な対策を講じることができます。

療養の給付

被保険者の疾病または負傷に関しては、次の療養の給付が受けられます。

  1. 診察
  2. 薬剤または治療材料の支給
  3. 処置、手術その他の治療
  4. 居宅における療養上の管理およびその療養に伴う世話その他の看護
  5. 病院または診療所への入院およびその療養に伴う世話その他の看護

上記の療養の給付については、一部負担金を保険医療機関に支払うことにより、上記の療養の給付を受けることができます。

一部負担は区分に応じて療養の給付に要する費用の額に以下の表に掲げる割合を乗じて得た額を、保険医療機関等に支払います。

被保険者の区分負担割合
70歳未満100分の30
70歳以上の一定以上所得者100分の30
その他70歳以上100分の20

※一定以上所得とは、標準報酬月額が28万円以上のことを言います。

ただし、年収が520万円(被扶養者等がいない場合は383万円)に満たない場合であって、その旨を保険者に申請した場合は100分の20となります。

また、災害その他厚生労働省令で定める特別の事情がある被保険者であって、一部負担金の支払いが困難であると認められる場合は、減額や免除、支払い猶予などを受けられます。

入院時食事療養費

入院時食事療養費は、被保険者が病気やけがで保険医療機関に入院したときに、療養の給付とあわせて食事の給付が受けられます。入院期間中の食事の費用は、健康保険から支給される入院時食事療養費と入院患者が支払う標準負担額でまかなわれます。

支給要件

被保険者が、保険医療機関等のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、入院およびその療養に伴う世話その他の看護たる療養の給付と併せて受けた入院時食事療養費が支給されます。

入院時生活療養費

入院時生活療養費は、65歳以上の被保険者・被扶養者が療養病床に入院する場合に、生活療養にかかる生活療養標準負担額(食費・居住費)を自己負担し、生活療養標準負担額を超えた額は、入院時生活療養費として健康保険組合が負担します。

支給要件

療養病床に入院する65歳以上の被保険者が、保険医療機関等のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、入院およびその療養に伴う世話その他の看護たる療養の給付と併せて受けた入院時食事療養費が支給されます。

自己負担額の計算方法

入院時食事療養費

入院時食事療養費の額は、厚生労働大臣が定める基準にしたがって算出した額から平均的な家計における食事を勘案して厚生労働大臣が定める標準負担額を控除した額となっています。

一般の方 1食につき 460円
難病患者、小児慢性特定疾患患者の方(住民税非課税世帯を除く)1食につき 260円
住民税非課税世帯の方1食につき 210円
住民税非課税世帯の方で過去1年間の入院日数が90日を超えている場合1食につき 160円
住民税非課税世帯に属しかつ所得が一定基準に満たない70才以上の高齢受給者1食につき 100円
全国健康保険協会ホームページより

入院時生活療養費

入院時生活療養費の額は、生活療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額となっています。実際には、被保険者・被扶養者が生活療養標準負担額を保険医療機関等に支払い、残りの部分を現物給付として受けることになります。

区分食費〈1食につき〉居住費〈1日につき〉
課税世帯医療区分Ⅰ(Ⅱ・Ⅲ以外の方)460円(420円)370円
医療区分Ⅱ・Ⅲ(医療の必要性の高い方)460円
難病患者等260円0円
低所得者Ⅱ(住民税非課税世帯)210円370円
低所得者Ⅰ(年金収入80万円以下等)130円370円
全国健康保険協会ホームページより

給付金の申請と受け取り

入院時食事療養費と入院時生活療養費の申請方法と給付の受け方について説明します。

入院時食事療養費の申請と受け取り

入院中の食事代のうち、自己負担額を病院などの窓口で支払います。

自己負担額以上の食事代を負担した場合は、住民登録をしている区役所・支所の国保の窓口で申請します。

また、市民税非課税世帯の方が、入院時食事療養費の減額の適用を受けるためには、病院などの窓口で「限度額適用・標準負担額減額認定証」の提示が必要です。

入院時生活療養費の申請と受け取り

65~74歳の方が療養病床に入院する場合、下記の標準負担額を病院などの窓口で支払います。

標準負担額以上負担した場合は、住民登録をしている区役所・支所の国保の窓口で申請をしてください。

また、市民税非課税世帯の方が、入院時生活療養費の減額の適用を受けるためには、病院などの窓口で「限度額適用・標準負担額減額認定証」の提示が必要です。

基本的には原物給付

これらの給付は、一般的には現物給付の形を取り、医療費と一緒に後で支払われます。そのため、患者はその分を立て替え払いする必要はなく、標準負担額と一部負担額だけを医療機関の窓口で支払います。

具体的な申請方法や必要な書類は、各市町村の保険年金業務担当窓口で確認が必要です。

また、申請が認められると「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」が交付され、被保険者証と認定証を医療機関の窓口へ提出することで標準負担額の軽減措置が受けられます。

終わりに

この記事を通じて、入院時に健康保険から受けられる給付についての理解が深まったことを願っています。入院は体調だけでなく、経済的な負担も伴いますが、適切な知識と準備を持つことで、その負担を軽減することが可能です。

健康保険制度は私たちの健康を守るための大切なツールです。その利用方法を理解し、最大限に活用しましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました